共同研究と国際協力

共同研究

 共同研究のテーマは、必要性と緊急性があり、両国が関心を持つ共通の環境問題の解明と解決策を対象としています。省エネルギー技術、クリーンプロダクション技術、資源回収、水の再利用とエネルギーの利用技術、環境汚染の問題などの環境分野では実績をあげています。日中センターでは、毎年、環境技術セミナーを開催し、教員、研究者、産業界の専門家などと交流や連携の場を提供しています。 このセミナーでは、最先端技術についても議論し、科学理論の技術産業への適用を促進しました。

 日中センターは様々な実験に基づいて様々な水環境問題を見出し、解決してきました。 その目的は、さまざまな環境問題を特定し、適切な管理ツールを特定し、人間の健康に有益なソリューションを提案し、実施することです。 研究分野には、環境リスクアセスメントと管理、低炭素社会構築、飲料水処理技術、水環境保全計画、固形廃棄物資源と管理、廃水処理、再生技術などがあります。 これまでに実施された共同研究の例は以下のとおりです。

  1. 新興汚染物質(EDCsとPPCPsなど)や生理活性物質の存在調査及び解決策の検討
  2. 深圳市下水処理場および市内河川の水質調査
  3. セラミック膜による浄水処理や再生水処理技術の開発
  4. 廃棄物と汚泥処理に関する共同研究
  5. 都市の非点源汚染の研究

 また、2008年、京都大学は、アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点事業(GCOE)と環境マネジメント人材育成国際拠点事業(EML)の2つの研究教育プログラムによりグローバルな活躍ができる優秀な人材を育成するプログラムを開始しました。この2つのプログラムの中で、日中センターは重要な海外拠点として活動しました。

 GCOEプロジェクトは、アジア・メガシティにおける人間安全保障の確保、すなわち、ベーシック・ヒューマン・ニーズの充足、地域公害問題の克服、異常気象や地震等による災害リスクの軽減、これらの脅威に対する個々人・家庭及びコミュニティ・レベルでのエンパワメントに対処すべき技術、制度、運営・管理、ガバナンスと、それらを体系的にマネジメントする学理及びそれを実践する人材の整備のため、大学院の教育研究機能を強化することを目的としています。 GCOEプロジェクトは、深圳、シンガポール、クアラルンプール、ムンバイ、バンコク、ハノイ、バンドンなどの7つのアジア諸国に海外拠点を設置し、ネットワーク化された国際教育と研究を利用して次世代の研究者や専門知識を有する実務家を育成しました。

 EMLプロジェクトの目的は、アジアの発展途上国のニーズを満たすためにアジアの環境問題を解決する能力を持つリーダーを育成することです。 EMLプログラムは、アジアの現状を十分に理解した多分野のカリキュラムを提供しています。長期インターンシップの実施により、問題を特定し問題を解決する環境リーダーの責任を経験し、アジアの環境問題に直接関連する研究を行います。 同時に、海外の教育研究活動を支援するため、EMLプロジェクトは深圳、ハノイ、フエの3つの海外拠点を設置しました。

 2013年3月にGCOE及びEMLプロジェクトが成功裏に完了したあとも、京都大学大学院工学研究科および地球環境学堂は、環境工学分野を中心にGCOEやEMLでスタートした教育プログラムを継続発展させています。2013年3月2日に京都大学と清華大学は日中両国の研究と教育協力を継続することを目的に日中センターの設置に関する協定を更新しました。また、2015年3月12日、両大学は、京都大学の工学研究科に加え、地球環境学堂を加えて、日中センターの設置に関する協定を改定しました。2018年12月6日、後述する京都大学でのオンサイトラボラトリーの認定と京都大学と清華大学での修士課程ダブルデイグリー実施を受け、日中センターの設置に関する協定を改定しました。今後も、京都大学、清華大学および両大学に関連する研究機関や民間企業との架け橋として、環境工学分野においてより深く、より幅広い分野での教育研究に引き続き貢献していきます。

国際協力

 京都大学は、日中センターを通じ、深圳市環境科学研究所、深圳水務集団、深圳市居住環境委員会、深圳市環境科学学会、深圳市都市発展研究センター、深圳市水質モニタリングセンター、中山市三角鎮科学技術創新センター、国家都市上水水質監視ネットワーク、珠海モニタリングステーション、華藍設計(集団)有限公司などの地方政府機関や企業と良好なパートナーシップを結んでいます。これらを訪問し、あるいは日本へ招聘し、意見交換することで人事や学術の交流が深められ、共同研究や技術研修などの活動も行っています。

 日中センターは、日本と中国の環境分野における関係機関の交流の場として、両大学に関連する企業を視察団として定期的に組織し、中国や日本の環境施設の訪問視察を行っています。その中には、深圳市にある埋立地、廃棄物焼却施設、浄水場、下水処理場などや、日本の下水処理場、汚泥炭化施設、資源循環センターや水道施設などがあります。また、日本や中国の環境保全に貢献するため、日本や中国の地方自治体や環境企業に研究成果を発信しています。

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